左右分割キーボード「Orca Echo」を本気で待っている理由

2026年6月19日、東京で先行クラウドファンディングが始まる

一番大事な日付を最初に。

2026年6月19日(金)、東京で開催される「GIZMARTサマーフェア」で、Orca Echoのプロトタイプが展示される。そしてイベント終了後、ギズマート(GIZMART)で日本先行のクラウドファンディング、つまり先行販売がスタートする。
https://www.gizmodo.jp/article/tenkey-orcaecho-t1he/

正直に最初に言っておく。この「Orca Echo」、筆者はまだ触っていない。まだプロトタイプ段階で、世に出ていないからだ。

それでも記事を書きたくなった。理由は単純で、長年の自分の悩みを、ピンポイントで殺しにきている製品だからだ。期待している所も、引っかかっている所も、両方正直に書く。

そもそも、普通のキーボード+マウスが筆者の体を壊していた

筆者は普段、薄型のキーボードとLogicoolのマウスで仕事をしている。不満はない——とずっと思っていた。
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でも、地味にずっと辛かったことがある。マウスを使うたびに、右手をホームポジションから引きはがして、マウスまで移動させる。この「離す→戻す」を1日に何百回もやる。打鍵のリズムが、そのたびに途切れる。

おまけに長時間のデスクワークで姿勢が崩れ、ついに首を痛めた。一体型のキーボードは、自然と肩を丸めて手首を内側にひねる姿勢になる。これがずっと効いていたんだと思う。

「キーボードを変えれば、この2つは解決するんじゃないか」。そう思って真剣に探し始めて、たどり着いたのがOrca Echoだった。

Orca Echoは「手を動かさず全部届く」を本気で狙っている

Orca EchoはKeychronとギズモード・ジャパンが組んで作っている、左右分割キーボードだ。

一番のコンセプトが「射程圏内」。一般的なキーボードは約75キーあるが、これを49キーまで削っている。ホームポジションから指を動かさずに届く範囲だけに、キーをまとめるという発想だ。

しかも配列が、指の長さに合わせてキーを縦に並べたカラムスタッガード。斜めにズレた普通の配列より、指の動きが素直になるらしい。「手をできるだけ動かさない」という一点に、設計が全部寄っている。

一番刺さったのは、親指のトラックボール

ここが、筆者がこの製品に惚れた最大の理由だ。

親指の位置に、19mmのトラックボールが埋め込まれている。つまり、キーボードから手を離さずにカーソルを動かせる。さっき書いた「マウスのたびに指を引きはがす」という筆者の最大の悩みが、構造ごと消える。

カーソル操作のためだけに、右手をわざわざ旅に出させる時代は、終わるかもしれない。

左右分割だから、首と肩がラクになるはず

そして左右分割。キーボードが真ん中で割れていて、左右を肩幅に開いて置ける。

一体型だと肩を丸めて手首を内に折る姿勢になるが、分割なら胸を開いたまま打てる。首を痛めた今の筆者には、これが効くはずだと睨んでいる。角度をつけるテンティングスタンド(2段階)も内蔵で、手首のひねりも逃がせる。

接続も持ち運びも、地味に隙がない

細かい所も気が利いている。

  • 接続は有線・Bluetooth(最大3台)・低遅延の2.4GHzワイヤレスの全部入り。

  • 左右のユニットはマグネットで合体させて持ち運べる。

  • キーマップの変更は、ソフトを入れずブラウザ上のエディタ(Key Launcher)でできて、設定は本体に保存される。

49キーで足りない数字や記号は、親指のキーを押しながら他のキーを叩く「レイヤー機能」でカバーする。この辺は慣れが要りそうだが、思想は一貫している。

ただし、不安もある

ベタ褒めで終わらせたくないので、引っかかっている点も書く。実物を触っていないからこそ、ここは慎重に見ている。

1つ目。自慢のトラックボールが親指の自然な位置にあるということは、普通に打っている時、指がボールに当たらないか。逆に、当てないように気をつけて、かえって手が疲れないか。

2つ目。親指で押せるキーが、実質3つ程度と少ないらしい。複雑なレイヤーを組みたい人には、カスタマイズの制約になりそうだ。

3つ目。これは「万人向け」の製品ではない。分割+トラックボールという尖った世界への入り口で、相性がハッキリ出るタイプ。合う人には神、合わない人にはただの変なキーボードで終わる可能性がある。

実は、MoNa2という強敵もいた

正直に書くと、探している途中で「MoNa2」というキーボードにも、かなり心を持っていかれた。同じ分割+トラックボール系で、スペックだけ見ると、こっちの方が優れている部分もある。

  • 親指キーがMoNa2は5つ。Orca Echoより多く、レイヤー操作(数字や記号の切り替え)は明らかに有利。

  • トラックボールの位置も違う。MoNa2は人差し指・中指のあたり、Orca Echoは親指。どっちが正解かは人によるが、「親指の自然な位置にボールがある」Orca Echoは、打鍵中に指が当たらないかという不安が残る。MoNa2の配置なら、その心配は薄い。

  • ダイヤルの感触も違う。MoNa2はクリック感がなくスルスル回る(スクロール向き)、Orca Echoはクリック感がある(キー割り当て向き)と見られている。これは完全に好みの世界だ。

じゃあMoNa2にすればいいじゃないか、という話になる。でも、ここに最大の落とし穴があった。

在庫がない。今、手に入れるのがかなり難しいのだ。どれだけ良くても、買えない物は使えない。

結局、「現実的に手に入って、自分の悩みに刺さる」のはOrca Echoだった。MoNa2は、いつか縁があれば触ってみたい。

それでも、筆者はこれに賭けたい

まだプロトタイプだ。製品版までに仕様は変わるかもしれないし、そもそもまだ触ってもいない。冷静に見れば、これは賭けでしかない。

それでも、「マウスで指を離したくない」「首をこれ以上痛めたくない」という筆者の2つの悩みに、ここまで真正面から答えてくれて、しかも現実的に手に入りそうな製品は、他になかった。発売が、本気で楽しみだ。

実物が手に入ったら、今度は使い倒したうえで、答え合わせの記事を書く。